例年であれば、夏以降に中小企業向けの補助金・助成金の多くは公募を終了し、「夏枯れ」の状態になる。しかし今年度に限っては、予定されている補正予算に補助事業が盛り込まれており、秋の深まりとともにその準備対応が慌ただしくなりそうである。

ビジネスでは何事においても、「良い準備」が「良い成果」の必要条件になる。補助金の獲得も例外ではない。公募情報を早めに収集し、申請内容を早めに構想し、さらに申請書作成にも早めに着手して、十分にブラッシュアップしていく・・・これが採択への一番の近道である。

とは言え、補助金申請に割ける時間にも限度があり、効率的な作成を心がけたい。以下は、補助金獲得の簡単な要点である。参考にしていただきたい。

 

■補助金申請時にまず意識しておきたいこと=「アウトプット」から考える

申請時のアウトプットはもちろん「申請書類」であるが、目標は当然「採択されること」である。したがって、「採択される申請書類とはどのようなものか?」を理解することが出発点になる。

 

■採択されやすい申請書作成のポイント

①募集要領は、まず審査項目から読む!

補助金には、必ず審査の基準がある(「審査項目」、「審査の着眼点」等、名称はさまざま)。採択されるか否かは、この基準にもとづく評価による。しかがって、この審査項目に準じて、申請書を作成することが必要である。

 

②書くべきは「審査員が聞きたいこと」であり、「自分が言いたいこと」ではない!

審査項目とは、「審査員は何を聞きたいのか?」を明示したものと言える。したがって、申請書のあらすじは、「審査員が聞きたいことに答える」こととも言い換えられる。自社の思いや考えを一方的に記述しても、審査項目に対応できていなければ、まさに「残念な申請書」になってしまう。

 

③5W2H、因数分解なども活用し、実行性がある事業計画をつくる!

補助金の採択は、その活用による一定の成果(たとえば収益増加、雇用促進など)が期待できる事業が対象となる。そして、成果を生む出すことを期待できる事業計画が求められる。「実行性がある計画」であれば、審査員の評価が良好になり、採択の可能性が高まりやすい。

では、「実行性がある」とはどういうことか?それは、計画内容が具体的で、実行できる可能性が高いということである。そもそも計画とは、不確実な予測にもとづき作成される一種の「仮説」であり、「やってみないとわからない」面は当然ある。他方で、「これならできそうだ」という説得力を審査員に持たせることは可能だ。

そのためには、「5W2H」を明確にし、金額や件数などの数値に合理的な根拠を持たせることが重要になる。また目標とする数値(売上等)は、「因数分解」することで説得力を増すこともできる。たとえば、単価×数量、席数×回転数、訪問件数×成約確率・・・などが考えられる。