先週から平成28年度補正予算による「ものづくり補助金」の公募が始まった。前回平成27年度補正予算での公募から、補助の枠組みはやや変わっているものの、申請書作成に関しては特に変更はない。この補助金は、高額の設備が補助の対象(「一般型」の補助対象額は1,000万円)となるため、設備導入を予定している企業が申請を検討する場合が多い。しかしながら、補助金が高額であるが故に、審査はそれなりに厳しく、また競争も激しくなる。

「ものづくり補助金」申請の相談でよく遭遇のが、「こういう設備を入れたいが、ものづくり補助金は使えるか?」という質問である。その都度、「設備導入は補助の対象ではあるが、単なる設備導入では採択されることはまずありません!」と何度となく答えてきている。「名は体を表す」の通り、「ものづくり補助金」は新しいモノ(あるいはサービス)の創造に対する補助金であり、さらに言えば、従来事業からの「経営革新」が求められているのである。補助金の申請書の見出しが「事業計画書」となっているように、経営革新に向けた事業の構想とその実現に向けたプロセス(計画)を考えなければならないのである。申請書の作成を進めるに当たっては、新規事業の企画、さらには将来的な経営戦略の立案という視点も不可欠だ。

経営戦略策定そのものは、補助金申請をする、しないに関わらず、いまや企業存続の必要条件である。将来を見据えてた経営戦略、経営革新を検討する絶好の機会が、「ものづくり補助金」の申請である。前向きな取り組みが、補助金1,000万円という実利に繋がるのであれば、多くの時間を割いてでも挑戦する価値は十分にあろう。