2017年初めてのブログアップになります。本年もよろしくお願いいたします。

年頭に当たり、2017年を私なりの視点で展望してみます。

 

■「トランプ」をどう考えるか?

昨年11月の米国大統領選前から、何かと「お騒がせ」であるが、最近は、その「つぶやき」が、企業活動にも影響を及ぼしつつある。「米国第一主義」という大義の下、隣国メキシコへの自動車メーカーの工場進出に“ダメ出し”を発し、一部のメーカーは、目の敵にされまいと右往左往しているように私の眼には映る。

また、昨年末から日経平均など株価指数も上昇しているが、トランプ氏の政策に対する「期待」が先行しているように見える。冷静に考えれば、トランプ氏は「つぶやいている」だけであって、まだ何もしていない。

トランプ氏が何を考えているのか、私にはわからないが、彼の主張はかなり偏狭な価値観にもとづいたものであり、対立を煽る言動は、社会不安を増幅させているように思える。さまざまな面で「不確実性」が増しているが、私は「トランプという嵐」が過ぎ去るのを待てば良いと思っている。1年もすれば、彼に投票した米国民の多くの期待は失望に変わっているのではないか。こんな時こそ、企業は目指したい将来像を視界に入れながら、目の前の経営課題に粛々と取り組むのが大切だと思う。

■「景気」は良くなるか?

そもそも「景気が良い」というのは、いわゆる“ビッグワード”で、その定義はあいまいだ。私自身は、今の日本経済はすでに「景気が良い」状態だと思っている。現在の失業率3%という水準は、経済学では「完全雇用」であり、世間では人手不足が深刻になっており、賃金の上昇圧力も高まっている。全体として「仕事がある」状態であり、これを「景気が良くない」と解釈する方がむしろ不自然ではないか。

私は、この国の問題の本質を「将来不安」だと考えている。特に社会保障制度の持続性、さらに膨大な政府債務という「ツケ」の支払いをどうするか・・・。この「将来不安」が貯蓄に促して消費を抑制し、結果的に企業に投資を躊躇させているのではないか。昨年、消費税率の引き上げが再延期され、今年も衆議院の解散が噂される中で、「将来不安」という問題の本質にメスが入ることは、残念ながらなさそうだ。