来春の新卒予定者を対象にした採用活動がスタートしている。相変わらずの「売り手市場」であり、学生にとっては、より有利な就職先を見出しやすい環境にある。他方、人材を確保したい企業にとっては、学生に選ばれるための創意工夫がより一層求められる。
厳しい経営環境と将来の労働力不足を視野に、大手企業は優秀な学生の確保(さらには早期の囲い込み)に懸命である。こうした中で、地方の中小企業は、大手企業にはない魅力を今まで以上にアピールしていくことが不可欠である。もはや、学生は「待っていても来ない!」時代であり。中小企業の経営者は、自らがリクルーターとして、前のめりで学生、さらには学校とのつながりをつくっていくことが求められている。
学卒者の採用を目指す中小企業が留意しておきたい点について、まとめてみたい。
■大企業にはない、中小企業の魅力とは?
初任給の水準や将来の安定性などの面で、中小企業が大企業に対抗するのは、ごく一部の例外を除いて、現実的には難しい。そこで、中小企業ならではの特長、魅力を改めて見直してみたい。たとえば、
・会社全体を見渡しながら仕事に取り組める
・経営者や幹部社員との距離が近く、提案や要望を伝えることができる
・ある程度の経験を積めば、相応の地位と権限の中で仕事ができる
・「会社の看板」とともに「自分の看板」を掲げることができる
などがある。これらは、仕事における大きな「やりがい」に直結するものであり、改めて認識しておきたい。
■人材確保を意識した広報活動をしているか?
相応に魅力を備えている会社でも、その存在、その活動内容について知ってもらえなければ、採用活動においては意味がない。
ここ最近、TVを見ていて「えっ、こんな会社がCMやっているの?」という場面がある。採用を意識した企業PRのCMと推測できるが、特に一般消費者との接点が少ない生産財メーカーなどは、こうした広報活動を展開することが多い。資金が限られた中小企業がTVCMを実施するのは難しいが、しかしながら自社HPやSNSなどを通して、企業活動に関する情報発信を継続することはできる。
さらに、「学校とのつながり」はかなり重要である。特に地域密着を志向する中小企業であれば、地元の高校、専門学校、短大、大学などとのつながりは、是非つくっておきたい。たとえば、学校を訪問し、進路指導担当者に会社案内パンフレットを渡して、経営方針や事業内容を理解してもらえば、学生とのつながりの起点になる。実際、ある支援先企業で、「学校の先生に『この会社に行ってみたら?』と言われました」と話した学生についてのエピソードを聞かされたこともある。
<次回に続く>