私を含め、世間にはコンサルティング業に関わる多くの人間が存在している。コンサルタントが提供するサービスは多種多様で、分野も経営戦略、財務、人事労務、IT、技術開発、生産管理等々多岐にわたる。また、企業への関与の方法もさまざまであり、スポットの経営相談から、定期的な訪問による助言・指導、常駐のハンズオン型支援まで幅広い。とは言え、コンサルティングの本質的な目的が、関与する企業の経営内容の持続的な向上にあることは普遍だ。
では、「持続的な向上」を実現するためには、どうするべきか?
コンサルタントが去ったら、経営状況が悪くなった・・・という話を耳にすることがある。それは、企業が自力で良好な経営を持続する能力が定着していないことに原因がある。コンサルタントは、その卓越した知見や技能を企業に伝達し、「自走」できる状態を実現しなければならない。いつか来るであろう「ファイド・アウト」を見すえて、経営者・社員に「気づき」と「学び」を促し、知見を付与して「わかる」状態にし、さらに実践させることで「できる」状態を実現することが、コンサルタントの使命だと思う。
中には、企業からの「丸投げ」を引き受けているコンサルタントもいるようだが、それでは企業の「自走」には寄与できない。必要なのは、「代行」ではなく「協業」である。企業との協業を通して、経営者・社員の成長を実感しつつ、然るべきタイミングで関与のレベルを引き下げていく・・・そんな「麗しいフェイド・アウト」こそ、目指したい経営支援の在り方だ。