マーケティング戦略では、「顧客は誰か?」を検討することが起点になる。販売する相手によって、売るべき商品(モノ・サービス)、売り方も変わってくるので、「顧客は誰か?」が定まらなければ、戦略は成立しない。

「誰を顧客にするか?」を定めるプロセスをターゲッティングと呼ぶが、これは買い手の集合体である市場の中で、自社にとって最もふさわしいと考えられる顧客層を選定するものである。このうち、買い手を一般消費者(コンシューマー、エンドユーザーとも呼ばれる)とし、商品を「消費財」として販売する場合、市場でターゲット顧客を選定する従来からの基準は、「属性」(年齢、性別、地域、職業、家族構成、世帯収入など)であるが、買い手の価値感の多様化・複雑化が進行する中で、昨今では「ライフスタイル」が基準として重視されている。「スローライフ」や「ワークライフバランス」などという言葉もよく耳にするが、ライフスタイルには、生活習慣、購買行動などとともに価値感を含めても良かろう。

では、属性で絞り込んだ顧客層とライススタイルをどのように関連付ければ良いであろうか?そもそも、想定するターゲット顧客とは、どのような人物なのであろうか?これらの論点を検討する際に、「ペルソナ」の概念がかなり役立つ。マーケティングにおける「ベルソナ」とは、ターゲット顧客のプロファイリングであり、定量的な属性とともに性格・趣味・価値感などのプロフィールまで細かく設定した仮想の人物像である。
ペルソナ像を具体化する効果として、「誰が買ってくれるか?」から「その人はなぜ買ってくれるのか?」という視点で持つことができ、顧客をよりいっそう意識した商品企画やコミュニケーション展開を検討できる点が挙げられる。他社との同質競争から抜け出し、自社の差異性や独自性を明確化するためのツールとして、活用する価値が今後よりいっそう高まると思われる。