商品の差別化、価格競争からの脱却、ブランディング・・・・。これらがマーケティングにおける課題であると認識している企業は、かなり多いのではないか。そうした中で近年、デザインの重要性がしばしば取り上げられているのは周知のとおりである。
「日経デザイン」7月号では、「そのデザインにいくら払いますか?」というテーマでデザイン価値に関する調査結果を掲載しており、興味深く読ませてもらった。同誌では「デザイン価値」を「消費者が『上乗せして払ってもよいと思う金額』」としていたが、各メーカーが、このデザイン価値を高めるために、さまざまな観点から創意工夫に取り組んでいることを読み取れた。
品質や機能など物質的な差異性は、厳しい競合の中で他社に徹底的に研究、模倣されることで、時間の経過とともに同質化されてしまう場合が多い。他方、デザインなどの情緒的な差異性は、同質化を回避する有力な手段になり得る。
また、商品のコンセプト、さらにブランドのコンセプトを的確に具現化できたデザインであれば、購買客に対して、独自性、さらに「思い」をより力強く発信することもできる。
しかしながら、中小・小規模企業にとっては、デザインに関わる費用を捻出するのは容易ではないという現実もある。そんな中で、より良いデザインを実現するためには、補助金・助成金を有効に活用することも必要になってくる。また、優秀なデザイナーの協力を得るためには、商品企画~開発におけるデザインに対する資金配分をより厚めにするという意思決定も必要だろう。
中小・小規模企業こそ、デザインの力でその独自性に磨きをかけ、“キラリと光る”商品を生み出すことが求められている。