9月20日の日経朝刊に、「スタバ、揺らぐ『独走』」というタイトルで出店攻勢と顧客満足度低下についての記事が記載されていた。記事を読んでいくと、スタバの経営戦略の“かみ合わせ”の悪さを感じた。

では、どうのように“かみ合わせ”が悪いのか?
シンクタンクが実施した顧客満足度調査の結果から、
・価格の高さと店の混雑による消費者のイメージ低下
がわかっている。しかし他方では、
・米国スタバの日本法人完全子会社化による出店加速(年間20~50店→80~90店)
で店舗数は従来よりもさらに増加している。つまり、「店の数は増えているのに、相変わらず混んでいる」のである。

他方で、周囲に目配りすると、長野県内でも伊那、岡谷にスタバが進出してきており、長野、松本などの主要都市から従来「空白地帯」であった地方都市で需要を吸引しようという意図が読み取れる。要するに、市場が未開拓の地域に対する投資を優先し、収益レベルを引き上げるという戦略である。

しかしながら、「価格が高い&混んでいる」というイメージを払しょくしないと、これまでの「独走」を下支えしてきたブランドイメージが悪化し、結果的に客数や来店頻度の低落につながる可能性がある。新規出店投資をしても、期待通りの集客・収益が実現できないのでは?・・・という気がする。

企業が保持する経営資源の質的・量的なレベルにもよるが、一般論として、経営の量的拡大の追求は、質的低落を招きやすい。さらに、外食業界でも人材不足の深刻化が問題になっている中では、店舗のオペレーションレベルを維持・向上させるのは、より難しくなっている。店舗数を増加させれば収益が確保できる、という単純な図式は成り立たない。

スタバの経営戦略は、いまターニングポイントに来ているのかもしれない。