前回のブログでは、理容店を取り巻く経営環境、存続のための売上確保に向けた経営課題などについて述べた。

理容業界では、新興勢力として低価格チェーン店(プラージュ、QBハウスなど)が革新的なサービス体系で低価格を実現しながら台頭し、従来型理容店の顧客を吸引している。(実は私自身も1,500円の床屋もユーザー。)
また、20~30代を中心として、ヘアスタイルへのこだわりが強い男性客が美容店を利用する場面が増加している。(たしかに、私よりも若い世代の男性には眉を整える人も多い!)

それではどうすればいいか?・・・マーケティングの基本原則は、「顧客を起点に考えること」である。まずは顧客ニーズを探ってみることが必要だ。
情報は限られているが、日本政策金融公庫が公表している「理容店に関する消費者意識と経営実態調査」は参考になる。調査資料によれば、カットや総合調髪以外のメニューのニーズとして、
・毛髪・頭皮ケア、ヘッドスパ、エステ(フェイシャルエステを含む)の充実に対するニーズが相対的に高い。
・女性が今後充実を求めるメニューとして、ヘッドスパ、女性顔剃り、毛髪・頭皮ケアの割合が高い。

これらのニーズから考えられる経営革新の着眼点として、セミナーでは以下の提言をした。
①新たなターゲットとなり得る顧客層:女性客、美容室を利用している(利用してきた)男性客(20代~40代)
②提供する新たなサービス:顔そり(女性向け)、毛髪・頭皮ケア、ヘッドスパ 等
③経営革新を実現するための人材・技術:女性理容師の確保、「大人の男性のかっこ良さ」などを演出できる技術の習得

「売上高=客数×来店頻度(回数)×単価 」という観点から検討しても、
・客数:女性客、美容室利用の男性客の吸引による新規客増加。
・来店頻度:カット以外のサービスの提供で利用頻度アップ。
・単価:サービスメニューの拡充で利用単価アップ。
という効果は期待できそうだ。

このような内容でセミナーを終えたのだがに、終了後に受講いただいた理髪店経営者から「たまには、床屋さんに行ってのんびりしてみてよ!」とお声掛けをいただいた。そして、「ウチの方が、1,500円の床屋よりも得だよ!」ともおっしゃった。
言われてみれば、たしかにその通りでお客にとっては「お得」なのだ。つまり1,500円の床屋の場合、所用時間を15分とすると分単価は100円。他方、従来型の床屋の場合、料金4,000円で所用時間を60分とすると、分単価は66.7円になる。

久々に床屋さんでのんびり・・・も良さそうだ。