「人手不足」さらには「人材不足」の深刻化で、特に飲食サービス業などではその対応に苦慮するケースが顕在化している。飲食業界の有効求人倍率は昨年12月の時点で、「調理」で3.59倍、「接客・給仕」で4.31倍となっている。人材確保が事業継続の大きな制約条件になっており、中にはヒトに左右されにくい業種・業態への転換を模索する企業も出てきている。
飲食店に限らず、「店」を経営するのが店長であるが、人手不足の中でパート・アルバイトの確保~シフトの管理への対応の負荷は増大している。そして、店長を担える優秀な人材の確保~育成もさらに難易度を増している。
そうした中で、飲食店の店長業務を網羅的に支援するITツールが登場している。その中で個人的に注目しているのが、リクルートライフスタイルが開発している「Air MATE」だ(詳細 https://airregi.jp/mate/)。同社はすでに、Airレジなど店舗運営支援ツールを広範に提供しているが、Air MATEでは、客からの注文情報をもとに売上額や客数などを自動集計し、面倒な事務作業を軽減させることができる。さらにAIを活用し、過去の店舗の注文実績や天候、さらにリクルートグループ内のグルメ情報サイトを通じて集めた周辺の飲食店の予約状況などを分析し、1日ごとの来店客数を予測する機能の導入も進められているそうだ。来店客数予測の精度が高まれば、勘と経験に頼らずアルバイトを効率的に配置するシフト作りが可能になり、客数に応じて料理の仕込みを前倒しするなど、作業負荷を平準化させることも可能になる。ある程度の業務経験を積んだ人材であれば、業務支援システムを活用することで、店長業務にも対応できる可能性が高まる。
中小・小規模事業者の生産性向上は経済産業省の重点分野となっており、2018年版の中小企業白書でもIT活用による生産性向上の取り組み事例が多く取り上げられている。ITさらにAIは万能な業務改善手段ではないが、“道具”として上手く使いこなすこともまた、経営ではないか。