商工団体などが主催する創業セミナーにおいて、創業予定者は「創業計画書」を作成する。創業計画書は、創業後の事業の内容・展開を文書にまとめるもので、創業予定者によっては重要なものと言える。
創業計画に限らず、既存の企業が策定する経営計画でも、まずはさまざまな視点から現状を把握~分析することからスタートする。良い創業計画、良い経営計画を策定するためには、「自らを知り、周りを知る」ことが不可欠だ。「自ら」とは、創業者自身、または既存企業の場合には企業の「内部事情」(あるいは内部環境)に関することであり、「周り」とは、創業者あるいは企業を取り巻く「外部環境」である。

最近感じることは、創業では特に外部環境分析が大切だということだ。創業においてはほとんどの場合、事業を構想する起点は創業者自身の経歴や保持している技能や知見である。つまり「自ら」(=内部事情)の把握と分析の結果、事業としての可能性を見出したから、創業を検討しているはずである。他方で、「周り」(外部環境)は十分に分析できていない場合が多い。創業から早い場合には3か月ほど経営状況が苦しくなっている事業者に遭遇することもあるが、その多くは「周り」を十分には把握できていない。

創業希望者によって把握すべき「周り」とは、
☑顧客(消費者):どんなニーズを持っているのか?
☑競合:自社の競合になると思われる企業(または店舗)の動向は?
☑市場:規模は拡大傾向?or 縮小傾向?
☑立地:店舗を開設する場合の立地条件・周辺環境は?
☑業界・周辺産業動向:どのような変化が起こっている?
☑技術動向:たとえばITの進化は?
☑社会経済情勢:周辺地域の人口は?高齢化の進行は? 好況?or不況?
などである。「周り」に「自ら」を適応させることで、事業機会は生じる。創業の思いや保持している技能はもちろん大切だが、それだけでは事業は成立しない。

しかしながら実際のところ、外部環境分析としてそれなりの情報を収集し、自社にとってどのような影響を及ぼし得るかを分析するのは容易ではない。ある程度の専門的な知見も必要になる。
こんな時、中小企業診断士は大いに役に立てる存在だと思う。良い創業計画づくりのために、身近にいる診断士を是非頼っていただきたい。