ここ1、2年で「スマート農業」に対する認知度がかなり高まっていると感じる。昨年末に放映されたTVドラマ「下町ロケット」でも、GPSを活用した農業機械の自動運転が取り上げられ、農業分野への先端技術の導入がさらに注目されるようになったのではないか。

「スマート農業」の画像検索結果
スマート農業の定義は多様だが、農林水産省の定義では「ロボット技術やICT等の先端技術を活用し、超省力化や高品質生産等を可能にする新たな農業」とされている。国なども農業を成長産業として、施策を講じてスマート農業の支援を始めている。スマート農業に関わるさまざまな新製品・新サービスの開発が進み、試験運用、さらに実用化に至るものも増えてきている。

■「農業の問題」を解決できるか?
スマート農業が推進されている主な背景としては、農作業の省力・軽労化、栽培技術の継承が挙げられる。農業分野では高齢化による離農が進行し、労働力不足が顕在化しており、農業の現場作業においてICTやロボットなどを活用する負荷の軽減は有用と考えられる。また、農家内で伝承されてきた栽培技術はいわゆる「暗黙知」であり、ICT導入を通して「見える化」することで、新規就農者など新たな担い手が早期に営農を軌道に乗せることも容易になるであろう。
他方で、発展途上でもあるスマート農業には多くの問題点と課題もある。
まずは投資負担の大きさだ。高機能の農業設備に対する投資額はかなり大きくなり、さらに活用が始まったばかりのICTやロボットなどの費用対効果もまだ不透明である。また、スマート農業の必要な設備やシステムを操作するには、それなりのITリテラシーが求められる。

■「スマート農業」にどう取り組むべき?
個人的な見解だが、スマート農業は時代の流れに沿ったものだと思われる。特にIT分野での技術革新は今後さらに進展し、AI(人工知能)の進化が農業分野でも“産業革命”を引き起こす可能性がある。また、スマート農業への機械メーカーやITサービサーなどの参入で、市場は拡大・活性化すると予想され、先行きが不透明でも、まずは「アンテナを張る」ことは必要である。
スマート農業を自農場に導入すべきかどうかは経営判断になるが、農場の現状を把握し将来展望を持つことが起点であることは確かである。スマート農業にのるか、そるかは、まさに「戦略」次第だ。