公的支援機関のコーディネーターを務めていた今年3月までの約5年の間に、おそらく延べ700~800件の相談に対応してきたと思われる。相談者の業種は、農業、製造業、商業・サービス業のほぼすべてに及び、相談内容は、収益向上、資金繰り、経営改善、創業、廃業、事業承継、人事・労務、法律、知財など多種多様であった。経営状況が比較的良好な会社もあれば、存続の危機に直面していた会社もあった。
振り返ってみると、相談を受けた中で業況が良い会社とそうでない会社のだいたいの割合は3:7であった。現在、国内の黒字企業は全体の3割強なので、概ねその割合と同程度だったようだ、
業況が良い会社の「経営者」とそうでない会社の「社長」との間には、ほぼ共通の違いがあったと感じる。前者について簡略にまとめてみると、こんな感じである。
・相手の話をよく聴き、前向きに吸収している。
・売上や利益よりも、顧客のことをまず先に考えている。
・問題を先送りせず、先手で行動している。
・従業員を適切に評価し、信頼している。
・他責にしない。
他方で後者の方は、上記とはほぼ対照的と言って良い。
・言い訳が多い。
・目先の売上ばかりを考える。
・不都合な現実に対処しない。
・従業員に対するダメ出しが多い。
・他責にする。
こうした後向きな話ばかりを続ける「社長」には、やや厳しい口調で苦言を呈する(場合によっては説教をする)場面もあった。
さて、「経営者」と「社長」と言葉を使い分けていたことにお気づきだろうか。個人的な見解だが、自分の会社をまともに経営できなければ、「社長」という肩書はあっても「経営者」とは呼べないと思っている。
これからも、より多くの方を「経営者」としてバックアップして行けたらありがたい。