販路開拓に活用できる「小規模事業者持続化補助金」(以下、持続化補助金)が、商工会議所の管轄地区(主に市部)で公募中である。また商工会の管轄地区(主に町村部)でも本日から公募開始となったが、広告宣伝などで活用できる50万円の補助金は、商店や飲食店などにとっては魅力的であり、是非とも応募申請をしていただきたい。
持続化補助金では、チラシや新聞広告、看板設置、ホームページ開設などの広告宣言が計画される場合が多いが、やるからにはターゲットとする見込客に“響く”広告にしてほしいと思っている。響く広告にするためには、ターゲット、目的、伝えるべき要点を熟考ことが必要だ。
10年以上も前だが、私は4年ほど広告代理店で企画営業の仕事に従事していた。会社案内や商品のパンフレット、新聞広告、チラシ、ホームページ、映像(TVCMやビデオパッケージなど)、イベントなど、それこそ「何でも屋」的に仕事に関わることができ、とても貴重な経験を積むことができた。私が在籍していた広告代理店には、制作部門があり、広告のコンテンツは社内のデザイナーが原則として制作していた。企画営業とは、顧客の依頼を受けた後、自ら広告のコンセプトを考え、そのコンセプトをデザイナーとの協業でカタチにするという仕事だ。コンセプトとそれを表現したコピーやデザインの提案は、顧客に受け入られることもあれば、ダメ出しされることもある。たいていの場合、提案の成否は相手の「好み」によるのだが、中には論理的に議論できる顧客もおり、そういう場面は“アドマン”にとっての醍醐味だった。
デザインとして提案されるものは、本来であればしっかりしたコンセプトが土台にあるはずだが、中にはそうではないものもある。上述したように、企画する営業担当とデザイナーがアイディアを出し合い、コンテンツをつくり上げるのであれば、良いものができる可能性が高い。しかしデザイナーがあいまいなコンセプトを起点に何となくコンテンツを制作すると、「これって何が表現したいの?」というものができる可能性がある。もちろん、経験とスキルが豊富なデザイナーは、しっかり筋が通ったコンテンツを制作するのだが、現実にはデザイナーのレベルにはかなりバラつきがある。診断士として、事業者の広告宣伝に関する助言をする場面もあるが、“残念な”コンテンツに遭遇することはしばしばある。
一般の方がデザイナーを選定するのは、かなり難しいと思う。そういう場合、商工会議所や商工会の指導員(支援員)にも相談していただきたい。さらにマーケティングに精通した診断士に助言を求めてもよい。
もし、自身がイメージしたものと違ったコンテンツが提案された場合には、それをデザインした理由やコンセプトをデザイナーに質問し、納得できなければ遠慮せずしっかり要望を出した方が良い。広告宣伝の原資が持続化補助金であったとしても、ムダ金にしてはいけない。