経営者が抱く構想や経営目標を具現化するためには、適切なプロセスが必要であるが、そのプロセスとして経営計画を策定するのが定石である。経営計画の策定は、その中身のレベルにもよるが、相応の知識とスキルが求められ、作りたいと思ってもそう簡単にできるものではない。したがって、外部専門家の支援を得ながら協業で策定をするのがベターなのだ。
経営計画策定に対する支援制度としては、経営改善計画策定支援事業(いわゆる「405」事業)と早期経営改善計画策定支援事業(いわゆる「プレ405」事業)があり、両者とも外部専門家(認定支援機関)に支払う費用の2/3が補助される。「プレ405」の利用はあまり多くないと耳にしているが、実のところ私自身はかなり有用な制度だと思っている。最近対応した案件でも、経営者と取引金融機関から良好な反応をいただくことができた。
「405」は、金融機関による金融支援(たとえば返済条件の変更。追加融資など)を伴う経営改善計画の策定であり、基本的には金融支援に対応する取引金融機関の意向がかなり影響する。他方で「プレ405」は取引金融機関が間接的には関わるものの、事業者側の自由度が高く、経営者が思い描くビジョンや事業展開に関する工程をじっくり検討できる。その本質はアクションプラン(行動計画)の作成であり、会社を良くするためにこれから何をどのようにすれば良いのかを「見える化」できる点が有用なのだ。
正直なところ、「プレ405」の上限補助額は20万円(しかもモニタリング込み)であり、外部専門家にとっては「儲かる仕事」ではない。だから「405」は引き受けても、「プレ405はやらない」という専門家もいるが、本当に儲からないかどうかは、その専門家の対応次第だと思う。
事業の構想や方向性は良いのに、実現するための道筋を描けていない経営者にしばしば遭遇するが、「プレ405」で未来への道筋を描いてみることをぜひおススメしたい。