先週から日経朝刊と電子版に「プロ野球動かしたテック族」という特殊記事が連載されている。https://r.nikkei.com/stories/topic_DF_TH_19110600

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今から遡ること15年前の2004年、近鉄とオリックスの合併に端を発した「球界再編」。記事を読みながら、史上初の選手会によるストライキ、ライブドアの近鉄球団買収騒動、楽天のプロ野球参入などが懐かしく思い出された。

私が物心ついた時にはプロ野球はかなり身近なものであり、かなり昔のことでも記憶は比較的鮮明に残っている。今から40年前の1979年は、あの江川卓投手が前年のドラフトの騒動を経てプロ入りした年で、巨人から阪神にトレードに出された小林繁投手が、対巨人戦圧巻の8勝0敗でリベンジを果たした。今思い出しても「格好良すぎる!」と感じる。

さて、1979年当時の球団数は今と変わらず12のままだが、球団保有企業の構成はかなり変わっている。その変遷は、日本の産業構造の変化を象徴している。
<1979年>
セ・リーグ:読売(新聞)、阪神(鉄道)、中日(新聞)、大洋(食品メーカー)、ヤクルト(食品メーカー)、広島(自動車メーカー)
パ・リーグ:西武(鉄道)、阪急(鉄道)、近鉄(鉄道)、南海(鉄道)、日本ハム(食品メーカー)、ロッテ(食品メーカー)

<その10年後の1989年>
セ・リーグ:1979年と変わらず
パ・リーグ:西武、オリックス(金融サービス)、近鉄、ダイエー(流通)、日本ハム、ロッテ

<さらに10年後の1999年>
セ・リーグ:1989年と変わらず
パ・リーグ:1989年と変わらず

<さらに10年後の2009年>
セ・リーグ:1999年と変わらず
パ・リーグ:西武、オリックス、ソフトバンク(情報通信サービス)、楽天(ECモール運営)日本ハム、ロッテ

<さらに10年後の2019年>
セ・リーグ:読売、阪神、中日、DeNA(インターネットサービス)、ヤクルト、広島
パ・リーグ:2009年と変わらず

1979年の球団は、「オールドエコノミー」の代表格である鉄道会社が5、次いで食品メーカーが4。しかし10年後の1989年には鉄道会社2社が撤退し、交通手段の主役が鉄道から自動車に移行したことを象徴している。そしてバブル景気のピークから20年後の2009年には、鉄道会社は2社となり、さらに巨大流通グループ・ダイエーの名前も消滅する一方で、ソフトバンク、楽天の新興ITサービス企業が名を連ねている。そして2019年現在は、食品メーカー3、ITサービス3、新聞社2、鉄道2、金融サービス1、自動車メーカー1という構成で、業種も多様化している。中でもITサービスはその収益力を背景に、プロ野球という優良コンテンツを自社のITサービスと融合させ、単なる広告媒体に媒体に留まらない事業を展開している。産業の主役はやはりITか・・・と改めて感じる。