2020年最初のブログ投稿になります。本年もよろしくお願いいたします。

 

年初からやや暗い題材になるが、減少傾向にあった企業倒産の件数が2019年には増加に転じている。1月10日の日経朝刊、1月15日の信毎朝刊それぞれで東京商工リサーチの調査情報を記事として取り上げている。近年、金融機関の融資先に対する積極的な支援もあり、倒産件数が減少傾向にあったが、日経は「後継者難から事業継続に行き詰まる事例が目立つ」と指摘しており、人手不足が倒産の理由として目立っているとも評されている。

数年前から大きく取り上げられるようになった中小企業の事業承継問題は、経営者の高齢化が着実に進行する中で、いよいよ淘汰が顕在化する段階に至った可能性がある。後継者難であっても、倒産に至るまでに自主的な廃業を選択することも可能ではあるが、借入金が残る場合には廃業したくてもできない場合が多い。致し方なく事業を継続し、社長の死去などにより結果的に倒産していると推測できる。
後継者難にともない中小企業の一定数が減少するのは致し方ないというのが個人的な見解だが、淘汰されるにしても、なるべく“ソフトランディング”できた方が当然良いわけであり、どうしようもない形での倒産は多方面に悪影響が波及するため望ましくない。

また求人難などを理由に破産手続きに入った北陸地方の食品会社の事例も取り上げている。現場を支える従業員の不足は事業継続の大きな障害になるが、他方で処遇改善に向けた給与の引上げも、短期的にはコスト増に直結するため容易に実行できないという「板挟み」状態に陥っていると考えられる。

中小企業庁長官の年頭所感でも、まず「生産性向上支援」「円滑な事業承継の促進」が掲げられている。https://www.chusho.meti.go.jp/soshiki/nentouShokan/2020Year.htm
いずれも今の中小企業支援におけるキモだと思う。とは言え人手不足は、ITやロボットを含む機械装置などの技術導入で、長期的には解決されると個人的には楽観視している。ただ、その技術の活用や導入、さらに業務プロセスの変革を推進できる人材は不足している。問題の本質は「人手不足」ではなく、「人材不足」であり、似て非なる問題だ。

企業存続に関わる後継候補の人材、生産性向上を主導できる人材など、今年も「ヒト」を支える取り組みを視力ながら続けたい。