2月は結局ブログ更新ができず終いでしたが、ようやく繁忙も脱却できたので、更新を再開します。

 

さて、ここ数年の経済産業行政の施策において、特にサービス産業の生産性向上を意識したものが多くなってきている。生産性向上はサービス業を含めて中小企業にとって重要な経営課題であることは間違いない。いま一度生産性について理解を深めることは、前向きな取り組みに向けて何かと有用だと思われる。

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■「生産性向上」とは何をすればいいのか?
そもそも「生産性」とは何か?
インプットに対するアウトプットの水準であり、企業経営においてはインプットが生産要素(労働と資本)、アウトプットが付加価値である。高齢化と人口減少が進行する日本においては、特に労働生産性の重要性が高い。
労働生産性は、投入した労働量に対して算出された付加価値額で表される。つまり、

労働生産性=付加価値額÷労働投入量

である。生産性を向上させるには、分母である労働投入量を削減するか、分子である付加価値額を増加させるか、あるいはその両者である。

■日本の「生産性」の国際的な水準は?
(公財)日本生産性本部はOECDデータベース等をもとに「労働生産性の国際比較 2019」を公表している(参考→https://www.jpc-net.jp/research/list/comparison.html)。それによれば、日本の時間当たり労働生産性は46.8ドルで、OECD加盟36カ国中21位となっている。G7(主要7カ国)では最下位であり、中東のトルコや東欧のスロベニアとほぼ同等の水準である。トルコは、先進国というよりも新興国に近いというのが個人的な認識だが、日本は生産性の水準からは先進国とは言いにくというのが実感だ。
「GDP世界3位の経済大国」というのはずいぶん耳触りが良い話であって。日本のGDPが欧州の先進国と比較して大きいのは、単に人口が相対的に多いからにすぎず。1人当たりGDPでは、ドイツ、イギリス、フランスを下回っている。
日本の生産性低迷は、「産業のサービス化」という構造的な要因による部分が大きい。サービス業を含む第3次産業の就業者数の全産業に占める割合は、2010年代に70%を超え、今も上昇傾向にある。また製造業においても、モノに保守サービスや金融サービスを付加される場面が増加している。サービス化の進行は、労働集約的な業務を増加させるが、特に日本ではもともと非効率的であったホワイトカラーの間接業務がほとんど改革されないままであったことが、マイナスに作用した。
ということで、ここ数年の経済産業行政の方向性は、概ね妥当だと言えそうだ。

■単なる労働時間の削減ではダメ!
現在進行中の「働き方改革」は、残業削減や休暇取得は直接的に労働投入量の削減につながるものの、個人的には「労働者保護」の色彩がやや強い印象を抱いている。他方で生産性向上の観点からは、残業削減や休暇所得を機会として活用できるか否かが今後の企業経営の成否に繋がると言える。
生産性の「分母」ではある労働投入量については、実はもう少し深掘りする必要がある。つまり、投入する労働を単なる「量」だけでなく「質」からも考えるのである。「量」を減らすだけでなく、「質」を高めなければ、単に「働かなくなっただけ」になる。
では、労働の「質」を高めるにはどうすればいいか?

<次回につづく>