2020年も残すところあと1週間となったが、ようやく繁忙状態がゆるんだ。ブログも2ヶ月ほど更新できていなかったが、また再開したい。

10月からシリーズの創業塾、経営塾の講師を務めさせていただいた。いずれも計画策定が中心の内容であるが、経営戦略、財務などに関わるエッセンスをできるだけ体系的にまとめたつもりだ。経営計画は、創業時に策定する場合には創業計画、経営者交替を盛り込む場合いは事業承継計画など、事業者のステージによってその呼称が変わるが、基本的な考え方やまとめ方に大きな違いはない。
周知の通り経営計画で重要なのは、策定することよりも実行することであり、さらに実行した結果について検証することである。計画は「不確実な未来の予測」にすぎず、残念ながらほとんどの場合、その予測通りに事態は進展しない。したがって、予測の精度を高める創意工夫は当然必要ではあるものの、完璧を過度に追求しないのが定石である。予測を踏まえた行動を振り返ることで、気づきや学びを得ることが、成長につながる。

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■やはり重要な「マネジメントサイクル」という仕組み
上記の創業塾、経営塾のいずれでも重視したのが、経営目的の実現に向けた計画~実行~評価という一連の経営管理の仕組み、つまりマネジメントである。この一連の循環活動がマネジメントサイクルであるが、最も広く知られているのが「PDCAサイクル」(計画Plan ⇒ 実行Do ⇒検証・評価Check ⇒ 改善対応Action)である。P、D、C、Aは密接に相互連携して機能させることが重要であり、たとえばP(実行)の初期段階で問題が発生すれば、早期にC(検証)とA(改善対応)に移行させることが求められる。

■PDCAサイクルは限界?
PDCAサイクルは、1950年代に提唱されて経営手法だが、誕生から60年以上が経過しており、そのスピード感や手順重視の姿勢などの問題点が指摘されている。過去の成功体験を抱える国内企業には、「PDCAを徹底する会社=良い会社」というイメージが今なお根強いとも言われているが、その一方で成長力が相対的に高いGAFAなどのシリコンバレー企業で活用される「OODAループ」という手法が注目されている。OODAとはObserve(観察)、Orient(適応)、Decide(決定)、Act(行動)の略である。
計画とは不確実な将来の予測ではあるが、その予測は過去の経験や結果にもとづく場合がほとんどである。これに対して、経営環境の変動性や不確実性が増す現在において、「過去から意味のある未来予測はできない」という指摘には相応の説得力があり、現況をまず観察することを起点としている点で、PDCAより進化しているようにも見える。

■ツールよりも大切なのは「スピード」と「徹底力」
しかしながら、現況の観察を継続することが、未来の確実な予測を保証するわけではない。より重要なのは、PDCAサイクルにおいても、予兆をとらえるためのアンテナを高く張り、その予兆に迅速に対処するスピードである。さらには言えば、事前にプランAだけでなくプランBも用意する「コンティンジェンシー・プラン」(緊急時対応計画)を温めておき、いつでも切り替えができるように準備することができればベターである。
PDCAサイクル、OODAループのどちらも経営管理のツールにすぎず、各企業の実情に応じて使い勝手が良いツールを選択すれば良い。大切なのは、変化に対応するスピードであり、サイクル(あるいはループ)を絶えず回し続ける「徹底力」である。