2021年はスタートしたばかりだが、2020年度は残り3ヵ月ほどとなった。2020年度は、新型コロナウイルス感染拡大への対策として、すでに2度の補正予算が編成されているが、今般さらに第3次補正予算が編成され、今月開会される通常国会で可決成立すると思われる。
ここ数年、補正予算の編成が恒常化しているが、今回の3次補正は、これまでの年度補正予算に相当するものと考えられ、2021年度の当初予算を含め、今後の中小企業関連施策についての有用な情報源と言える。というのも、ものづくり補助金や小規模事業者持続化補助金など、中小・小規模企業関連の主要な支援施策は毎年この補正予算に盛り込まれる場合が多いからである。

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■第3次補正予算に対する個人的所感
目下の最重要課題が「コロナ対策」であることは間違いないが、第3次補正予算案を概観する限り、これまでの1次補正と2次補正の流れをかなり踏襲しており、コロナ対策の継続性が意識されている。ただしこれまでの緊急措置的な色彩はやや低下しており、たとえば「中小企業等の資金繰り支援」では、保証制度の拡充や政府系金融機関による特例利率の設定が盛り込まれているが、そこには経営改善や事業構造転換の要素も求められそうだ。また、ものづくり補助金では4次公募まで盛り込まれたコロナ対応「特別枠」が「低感染リスク型ビジネス枠」に改編され、「ポストコロナの状況に対応したビジネスモデルへの転換」(出所:経産省PR資料)がうたわれている。

■「中小企業等事業再構築促進事業」
3次補正において個人的に注目しているのがこの施策である。
(詳細 → https://www.chusho.meti.go.jp/koukai/yosan/2020/201221yosan.pdf
現時点では制度の概要のみが公表されており、「事業再構築指針」なるものも不明であるが、私なりに行間を読み解いてみると、ものづくり補助金の「上級版」という印象だ。経産省のPR資料には「新規事業分野への進出等の新分野展開、業態転換、事業・業種転換、事業再編またはこれらの取組を通じた規模の拡大等、思い切った事業の再構築」との記述があるが、ものづくり補助金が経営革新に関わる設備導入に対する補助金であるのに対して、中小企業等事業再構築促進事業で求められるのは、ポストコロナ・ウィズコロナを見すえた経営戦略の転換に関わる投資と解釈でき、企業経営の根幹に関わるテーマと捉えている。補助金額がものづくり補助金よりも大きいことも、それを表している。
公募等に関する詳細は、補正予算が成立した後に公表される見込みだが、公募のスケジュールや申請書類は、おそらく従前のものづくり補助金と近いものになるのではないかと予測している。
「第3波」の中でコロナの先行きは不透明だが、年頭に当たり今後の経営戦略を再考する事業者も多いと思われ、コロナを外部環境の重要な要素と捉えて中小企業等事業再構築促進事業の活用余地を検討するのも有益だと考える。