昨年終盤はブログのアップがままならず、瞬く間に年が明けてしまいました。
2022年最初の投稿になりますが、本年もよろしくお願いいたします。
昨年もコロナ禍が続き、それがあらゆるの活動の前提条件となっている。良くも悪くも「慣れ」が定着し、この環境にある程度適応してきていると解釈することもできる。
コロナに起因して経営環境の変化が着実に進行しており、事業構造の変革、人材確保、IT活用の高度化などの重要度が高い経営課題は、緊急性の度合いも増している。事業構造変革に関しては、昨年4回公募された事業再構築補助金も変革の「補助エンジン」として有効に活用したい。コロナ対策の大型補正予算に関しては、バラマキの色彩が強いとの批判も出ているが、税金のムダ遣いかどうかは、補助金を活用して各企業が何を実現したかで評価されるべきだ。ムダ遣いとされないためには、支援している中小企業診断士も相応の役割を責任を果たさなくてはならない。
■事業変革のカギ
経営環境の変化を捉えた事業構造の変革には、経営者の熟慮と判断、さらには決断が必要になる。従来の常識や成功体験は、時として変化の足枷になる場合がある。視野の拡大と発想の転換には、「聴く力」を高めることが重要で、次の3つのキーワードがとても役立つ。
Talk a lot(たくさんの人と話をする)
Talk equally(上下関係なく対等に話をする)
Talk outaide(普段会う機会がない人と話をする)
この3つの言葉は、ある有名ユニコーン企業の経営者が講演会で語っていたものだ。シンプルでわかりやすいが、これ以上的確な言葉はないだろう。
■Talk equally
私は中小企業の経営支援の現場において、経営者に対して全従業員との個人面談を推奨している。米国シリコンバレーなど行われている「1on1ミーティング」のように週1回~月1回という頻度で定期的に開催するのは現実的には難しいので、四半期(3ヵ月)ごとあるいは半期(6か月)ごとで良いと思われる。ただし、評価面談のような社長(あるいは上司)が主体の形式ではなく、従業員を主役として社長が聴き役に徹し、適宜フィードバックする、つまりTalk equallyを実践することが大切だ。接客や生産などの現場で実体験を蓄積している従業員の気づきや問題意識を吸引し、経営革新や新規事業のタネを探索することは経営者の重要な役割だ。
■Talk outside
社内や同業者以外のoutsiderとのコミュニケーションの機会も積極的につくりたい。社内の常識や業界の常識が世間の常識からズレていないか、自分だけが取り残されていないか、常にアンテナを張るのだ。コロナ禍で行動の制約はあるものの、可能な範囲で商工団体や取引金融機関が主催する勉強会、交流会などに足を運んでみても良い。さらにリモートでのセミナーや講演会は飛躍的に増加しており、大都市と地方との学習機会の格差はむしろ縮小している。オンラインセミナーでは双方向のコミュニケーションは難しいが、チャットでの質疑応答などは活用可能だ。
「非常識」な二刀流で歴史的偉業をつくりつつあるMLBの大谷翔平選手のようなことを私を含む凡人がやることは不可能だが、従来の常識を打破する、あるいは超越する努力をすることはできる。そのための一歩がTalk a lot、Talk equally、Talk outsideだと思う。