事業再構築補助金の第5回公募が一昨日に締切となった。この支援施策がスタートしてちょうど1年になるが、すでに採択発表となっている第4回公募までを含め、製造業、サービス業、小売業、建設業などの事業者による再構築事業の計画策定のお手伝いをさせていただいた。

 

■経営戦略を組み立てる面白さ
周知の通り、事業再構築補助金はコロナ禍で経営のダメージを受けていることを前提としており、売上減少要件などが設定されている。ただし、それと同様に重要なのが、コロナ禍による経営環境の大きく変動を機会と捉え、大胆な事業展開に挑戦することである。再構築補助金活用を検討している事業者との初期面談では、新規事業の構想とその背景についてヒアリングするが、その構想の着眼点や発想が実に興味深いと感じる場面が多い。中には、再構築要件に合致していないものもあるが、事業者の前向きな挑戦そのものは、地域経済の発展にとってプラスだ。
中小企業診断士の役割は、こうした事業構想をより具体化し、事業計画として体系的に整理することである。当然、採択~交付決定により資金調達の道すじを作ることも重要であるが、一定の自己負担は必要であり、補助事業の失敗により経営に重大な問題が生じた・・・・・とならないための計画策定であることが大前提である。
そんな中での計画策定は、全社戦略、マーケティング、財務、組織編成など多面的な視点が求められる。こうした総合力を駆使しながら、戦略~計画を組み立てるプロセスには、個人的にとても面白いを感じている。もちろん、この仕事そのものはけっして楽ではないが・・・・・。

■入念な準備と「考え抜く」がKSF
すでに再構築補助金に関するHOW TOは、補助金公式サイトでの採択事例紹介、各種セミナー、さらにはYou Tubeの投稿動画などで巷に氾濫しているが、それはあくまでも「ご参考」だ。なぜならば、まったく事業は世の中に存在しないわけで、さらに他社をマネるだけでは、独自性や優位性は確立できない。基本は、経営の原理原則を踏まえて事業者とともに「考え抜く」ということに尽きる。
そんな中で、事前準備が不足することで、計画策定までに至らず申請を見送るという場面も生じている。特に権利関係(再構築事業に関連する契約事項等)の事前の確認は必須で、後になって実施不可であることが判明することがないようにしたい。

近々、第6回公募が開始になる予定だが、事業者の前向きな挑戦を後押ししつつ、自らも戦略~計画策定プロセスの奥深さを掘り下げながら、楽しみたい。