ちょうど1か月前、長野県内を営業拠点とする八十二銀行と長野銀行の経営統合が発表された。この2行を含めた金融機関の再編は、時間軸の長・短は不明でもどこかのタイミングであるだろうと予測はしていたが、突然の発表にはかなり驚いた。
コロナ禍の長期化、ウィズコロナにおける事業環境の激変も踏まえ、2行が経営基盤の強化に動いたのであろうと個人的には推察している。
ほとんどの金融機関は取引先支援の一環でM&A支援を行っており、この2行も従前よりM&A支援に取り組んでいると承知している。当然のことながら、自社がM&Aの対象となる場合のさまざまな効果・影響も熟知しているはずで、今後の経営統合がどのように進められるのかを注目したい。
■経営統合の目的としての中小企業診断士
今回の経営統合に関しては、地元の新聞でも多面的に取り上げられていたが、私がもっとも注目したのは、経営統合の効果としての人材確保である。新聞記事の中で、八十二銀行の松下頭取は経営統合の目的の1つとして人材確保を挙げ、中でも中小企業診断士を重要な人的リソースとして評価していた。記事を読み、懇意にさせていただいている両行の診断士数名の顔がふと思い浮かんだが、同じ肩書をもつ者として、松下頭取の言葉にはとても共感している。コロナ感染拡大により、3年前とは世の中の状況がずいぶん変わり、中小企業を取り巻く経営環境はかなり厳しくなっている。そんな中で、経営支援に必要な知識を備えた銀行内の中小企業診断士が活躍する機会はさらに広がりそうだ。さらなる活躍を願ってやまない。
■開業診断士として大切にしたいこと
金融機関などの企業に所属しない開業診断士は、日頃それぞれの発想や手法で支援活動に取り組んでいる。企業組織に属さないメリットとして、より客観的な第三者としての提言、そして時には「耳の痛い話」をすることもできる。長野県を元気にするという同じ志のもと、金融機関だけに限ったことではないが、今後企業内診断士とのさらなる協業や連携、さらにスキルアップのお手伝いなどには開業診断士として今まで以上に取り組んでいきたいと思っている。