先日、「経営のプロ『コンサル会社』の倒産が急増」とのネットニュースの記事を見かけた。信用調査会社の東京商工リサーチ(TSR)は12月2日に以下の記事を公表している。

「2023年1-10月の経営コンサルタント業の倒産は116件で、2022年同期(78件)の約1.5倍に急増し、過去最多を更新した。116件のうち、90件(構成比77.5%)が「販売不振」で、全体の約9割の104件(同89.6%)は負債1億円未満の小規模事業者だ。年間では、2023年の116件はすでに過去2番目の水準となり、このままのペースで推移すると、2009年の128件を抜いて、2023年は過去最多の記録を塗り替えそうだ。」

経営コンサルタント業といっても、我々中小企業診断士を含む士業をはじめ、監査法人や金融機関の系列会社からはじまり、大~小の独立系コンサルティングファーム、ITコンサルティング会社など、まさに多種多様である。そもそも自らが名乗れば、誰でも経営コンサルタントにはなれるわけで、資格が必須というわけではない。そうした業種特性から、TSRも「創業時に多額の資金が要らず、資格も必須でないコンサル業は参入障壁が低いのが特徴だ。それだけに玉石混交ともいえる」と指摘している。倒産しているのは、「玉」ではなく「石」であり、それはプロではない。

■経営コンサルティングとは何か?
私は開業当初、その名も「経営コンサルティング」(生産性出版)という分厚い本を購入した。結局すべて読み終えられないまま今では書棚の“飾り”になっているが、経営コンサルティングを以下のように定義していた。

「独立した専門的助言サービスで、経営管理上やビジネス上の諸問題を解決し、新しい機会を発見して捕捉し、学習を向上し、変革を実施することによって、組織の目的・目標を達成する上で、経営者と組織を支援すること」

つまりコンサルティングの前提は「専門性」である。国家資格はその専門性をある程度担保するため、信頼度は高いと言える。他方で、資格が何もなければ、専門性を何らかの客観的な根拠に基づき証明しないと、クライアントからの依頼を受けることは難しい。

■「プロ」ならば倒産しない!
前掲のTSR記事では、「コロナ禍を契機に、世界情勢やIT技術、事業再生など、時代が求めるレベルが上がり、“本物”と“もどき”のシビアな選別も進む。政府や自治体の助成や補助金申請のアドバイスに注力するコンサル会社も少なくない。」と指摘している。コロナ禍が選別の契機かどうかは不明だが、企業の経営課題がますます高度化する中で、実力をともなったプロでないと効果的な支援ができなくなっているのは事実だと思う。また、補助金申請支援に傾斜しすぎるのも、個人的にはどうなのか・・・と思う。採択時の成功報酬で稼ぐコンサルタントもいるが、補助金もいつまで続くのか不透明だ。たとえば、経済産業省の事業再構築補助金は、制度上の問題も指摘され、次回で公募終了になる見込みである。そうなると、補助金依存型のコンサルティング会社は倒産予備軍になりかねない。

おかげさまで、2023年も倒産とは無縁のままで終えられそうである。コンサルティング会社の倒産を他山の石として、専門性をさらに高め、よりいっそうクライアントの期待に応えることが、2024年でも不変の使命だ。